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学校長挨拶

皆様方には益々御健勝の事とお慶び申し上げます。

 

さて、私共はこの度、首都・キャンベラに新たな日本語教育の場を設けることを目的として2017年4月より正式に「CJCキャンベラ日本語学校」を創立致しました。

近年、オーストラリアに於ける日系の人口は世界でも第3位と上位にあり、首都・キャンベラに於いてもその数は増加傾向にあります。オーストラリアでは、多文化主義政策が広がりを見せた1980年代にNational Policy on Languageが制定されて以降、多言語主義政策の充実が目指されてきました。移民の子供たちが家庭で話す母語・継承語は「Community Language(継承語)」と位置づけられ、この言語力を伸長させることが社会を豊かにするという理論も打ち出されました。しかしながら、移民の子供たちやその親にとって、社会や学校での主流言語と異なる継承語を家庭内のみで習得・維持することは非常に悩ましい問題となっているのが現実です。

日本語の場合、子供と親が共に学習に尽力しても、日本語で教育を受けるために必要となる語学力の習得には一般に6年前後かかると言われています。その間子供たちは日本で育つ日本の子供達、所謂ネイティブジャパニーズスピーカーと比べて明らかな言語ハンディを負うことになります。兵庫県立大学、松田陽子教授による研究発表によると、その過程において、時には自信を失ってしまい、幼児期に習得した継承語の使用が減り、家庭での親とのコミュニケーションにも問題が生じたり、自分達が身をおいている社会の主流言語(オーストラリアの場合は英語)と異なる親の言語を恥ずかしく思い、自分自身のルーツに対する自尊感情も失ってしまう子供たちも多くいるとのことです。

当校では、日本語の指導のみに留まらず、地域に密着しながら様々な文化貢献や社会貢献の役割も担ってまいります。多様化著しい世界の中で、何事にも柔軟に、たくましく、そしてしなやかに対応できる人材の育成を目指しながら、子供たちの日本人としてのアイデンティティを守り、育てていきたいと考えております。

キャンベラで育つ子供たちが、大きく世界へ羽ばたき、日本とオーストラリアをより一層深く繋ぐ架け橋となることを願って止みません。

皆様の御理解と御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

2017年吉日

​CJCキャンベラ日本語学校長 松本直樹

左からCJC田村会長、松本校長、白土先生

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